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2015-01-17 00:01



5,6年前からでしょうか。・・石川英輔氏の『大江戸シリーズ』を色々購入して読みました。中毒的(一つを読み終えるとまた他のが読みたくなる状態)に嵌りました。『大江戸えねるぎー事情』 、『大江戸リサイクル事情』、『大江戸生活事情』、『大江戸しあわせ指南』・・・・。この『大江戸シリーズ』にも同一作家の著作物にありがちな、どれを読んでも貫かれている思想の金太郎飴状態が観られます。大江戸シリーズの根底に流れる石川英輔氏の哲学に共感する私としては、この金太郎飴状態も含めて、大江戸シリーズを麻薬のように愛読してきました。(一人の作家の作品には、この金太郎飴状態は寧ろ大切なことでしょう。それが個性であり、そこに惚れた読者がファンになるのでしょう。著作物に限らず、音楽や美術、学術論文等などにも言える事です。)

石川英輔氏は、大江戸シリーズの前口上(プロローグ)などの中で、「決して江戸時代がとても素晴らしく、桃源郷のようだったと思っているわけではない。・・今も昔も地上に天国がある筈は無く、人間は多くの愚行を重ねて生きてきた・・・」のように述べています。そして、「現在の価値観だけが正しいわけではない・・」と間接的、消極的、そして控えめに江戸時代を肯定するような書き方をしていますが、その実、本編の内容は、現在よりも江戸時代のほうが賢かった・・・と言える実体をこれでもかと示します。そう、環境問題でも社会問題でも、江戸に学べば解決出来る事が沢山あると言う事、そして解決のために、新たな価値観を模索する必要はなく、江戸時代の価値観は十分に持続可能な社会を維持できた・・・と言う事が『大江戸シリーズ』の本のどれにも共通して流れています。そして、その理性的な洞察は、的を射ていると感じます。更に石川英輔氏の江戸に対する深い愛情も伝わってきます。
例えば『大江戸生活事情』のプロローグには、「明治維新は一種のクーデター政権だから、旧政府が悪ければ悪いほど自分達を正当化出来る。その為、過去の時代を一種の暗黒時代のように教えて、欧米を正しいお手本とする方針をとった。」とあります。これには目から鱗でした。なるほど、その通りだと思いました。
 「大江戸シリーズ」のどれを読んでも・・エネルギー事情でも、リサイクル事情でも・・・同じ事をするのに、確かに現代のほうが時間効率はいいのですが、一方現代は持続可能でない方法ばかりです。それに比べ、江戸時代のやり方は時間と手間は掛ったかも知れませんが、持続可能[sustainable]な手法ばかりです。
現在の政府が行っている(環境対策等の)政策の中で、江戸時代よりも優れている・・・と言い切れる政策は見出せません。
江戸時代のほうが遥かに優れていた・・・と言う政策はリサイクルでも省エネでも、交通でも、農業でも・・・いくらでも見出せます。現代の科学技術と言うものは、つくづく一面的で、中途半端で、デメリットの多いものだと痛感します。
現在行われている環境対策;エコ替え、ペットボトルなどのリサイクル運動、原子力をはじめとする石油代替エネルギーの大半・・・は、環境問題を解決するどころか、環境問題を悪化するものばかりです。「エコ」は「エコ」でもエコロジー[ecology;生態環境] 対策ではなく、エコノミー[economy;経済]対策だからです。日本に限らず現代の人々は、経済成長という愚かな主義に洗脳されて環境を破壊し続け、自分たちで自分たちの首を絞めている状況です。それに対し、江戸時代の人々の多くは、地球の循環に即した一種の理想的な持続可能社会を作っていたのです。江戸時代のほうが現代人よりも遥かに自然の摂理に通じていたように感じます。
現代の技術を全否定する積りはありませんが、破局に突き進んでいる現代社会は、どうしようもない対症療法的付け刃の政策を続けるのではなく、今こそ江戸に学ぶべきなのです。
江戸に学ぶべきことは非常に多いのです。「大江戸事情シリーズ」を全部制覇しよう・・・とは申しませんが、環境問題や社会問題を論ずる場合に限らず、誰でも、石川英輔氏が調べて描いた、彼のライフワークとも言える「大江戸(事情)シリーズ」の一つでも読んでみる価値は十分にあると思います。強くお奨めします。


余談ですが、石川英輔氏の小説家としてのデビュー作であり、出世作でもある『大江戸神仙伝』も大江戸シリーズの一つと言えるでしょうが、こちらは私がお奨めの「大江戸(事情)シリーズ」ではありません。ノンフィクションでは無くSF(恋愛)小説です。このタイムスリップものは続編などもあり、合わせて「大江戸神仙伝シリーズ」とも言えましょう。(他に『大江戸妖美伝』、『大江戸遊仙記』など・・)フィクションに対する興味が失せてきた私には、それほど面白いとは感じず、途中で読むのを止めました。(特にタイムスリップものは矛盾だらけであまり好きになれないものが多いのですが、そんな中では悪くないと思います。)高校、大学生くらいだったら、面白く読めるでしょう。・・・私もまたいつかトライしてみようかとも思います。(お奨めの文明論の一種とも言えるノンフィクションの「大江戸事情シリーズ」に対して、こちらのSF恋愛小説は「大江戸情事シリーズ」と言った方が語呂もいいし対応関係も完璧かも知れません。・・(笑))これまで私が石川英輔氏のSF小説の中で最後まで一気に読めたものは、【2050年は江戸時代】だけです。これは非常に面白く読めましたし、参考にもなりました。

 「大江戸情事シリーズ」は小説にしても、江戸時代の優れた知恵をここかしこで紹介していますので、そこは読みどころです。彼の作品を読むと、石川英輔氏は、つくづく江戸時代を愛しているものだと言うことが伝わってきます。そして、多くの現代社会の問題を解決するためにも、多くの人に江戸時代の優れた知恵、技術、文化、粋、・・・を紹介したいのだと思います。非常に共感致するところです。

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【2015/01/17 00:01】 | 書評 トラックバック(0) |

石川英輔氏
爽風上々
石川さんの本はデビュー作の「SF三国志」など読んだもののそれからはご無沙汰で、久し振りに大江戸神仙シリーズの一冊を読んだのですが、内容に反発を感じることもありあまり読まなくなりました。

エッセイシリーズがあるとは知らなかったのですが、図書館で探して読んでみようかと思います。

無批判に江戸時代は良かったというようなことを書いている人もいますが、その欠点も認識された上の姿勢のようなので読む価値はありそうに思います。

江戸時代に人口は約3倍に増えたようです。新田開発も盛んでさまざまな技術の発展もあり、また戦争のない状況が生産増加をもたらしたといえます。
矛盾はどの社会にもあり、それが噴出することもあります。今年の大河ドラマもなんとなく見ていますが、幕末の変革を求める志士と言われる人々の求めたものはなんだったのか、諸外国の中でやむを得なかったとは言え、間違った方向に突き進んだのかもしれません。

訂正
爽風上々
デビュー作は「SF三国志」ではなく「SF西遊記」でした。最近よく三国志関連のものを読んでいたのでなんとなくそちらを書いてしまいました。

地球の大きさ、日本の大きさによる制限
guyver1092
 さまざまな制限の中で、最大限太陽エネルギーを利用してきたのが江戸時代ですね。
 江戸時代の技術力による太陽エネルギー固定能力の範囲では、三千万人の人口を養うのも多少の余力があったようです。「貝と羊の中国人」によると、かなりの余裕があり、この余裕のおかげで明治維新の経済発展があったとのことです(槌田氏も同様なことをどこかで書いていました)。
 当然経済発展は、庶民の富を吸い上げて行われたので、比較的小規模な農民等は没落したそうです。また、環境破壊も進んで、足尾銅山鉱毒事件等が起きたようです。

Re:石川英輔氏
雑草Z
私は「大江戸神仙伝シリーズ」(別名「大江戸情事シリーズ(笑)」)を、中古で数冊購入し、そのうち2冊読んでみましたが、どちらも前のほうだけ読んで止めてしまったのは、大して面白いと感じなかったからです。(例によって、タイムスリップものの矛盾も嫌いですし・・)

爽風上々さんは

>内容に反発を感じることもありあまり読まなくなりました。

との事ですが、どんな部分に反発を持ったのでしょうか?興味があります。


一方、お奨めの、「大江戸事情シリーズ」は、私の紹介の仕方が誤解を招いたのかも知れませんが、エッセイではないと思います。学術論文のような固い書き方ではありませんが、読みやすく書かれた文明論(江戸時代と現代の比較)の類だと思います。比較文明論とも言えるのでしょうか?
 タイトルの項目の内容に関する江戸時代の紹介でもあり、データを調べ、現在と比較して考察しています。例えば、「大江戸えねるぎー事情」では、同じ作業をするエネルギー量を、石油の量に換算して比べています。江戸時代のほうは、人力も石油換算しています。(そうしないとほぼゼロJになってしまいますから・・。)文章には彼の思想も反映されてはいますが、エッセイや随想の類では無いと思います。江戸時代の余り知られていない知恵も様々紹介されていて、興味を持って最後まで読めます。大江戸神仙伝」のように眠くはなりませんでした。



Re:地球の大きさ、日本の大きさによる制限
雑草Z
>最大限太陽エネルギーを利用してきたのが江戸時代

そうですね。風力、水力から薪炭や人力に至るまで太陽エネルギーと考えられますね。それ以外のエネルギーを殆ど使わなかった事が、江戸時代の素晴らしさですね。

>この余裕のおかげで明治維新の経済発展があったとのことです(槌田氏も同様なことをどこかで書いていました)。

言われてみれば私も槌田敦さんの書物でそんな事を目にした記憶があります。江戸時代の余力は結構あったのですね!?・・・現代のほうが真の意味の余力は無いでしょうね。

>比較的小規模な農民等は没落したそうです。また、環境破壊も進んで、足尾銅山鉱毒事件等が起きたようです。

なるほど、明治維新以降、現代に繋がる環境破壊と格差問題が起こった・・・とも言えそうですね。・・とすればやはり明治維新は本当は日本にとって良くなかったのかも知れませんね。




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この記事へのコメント
石川英輔氏
石川さんの本はデビュー作の「SF三国志」など読んだもののそれからはご無沙汰で、久し振りに大江戸神仙シリーズの一冊を読んだのですが、内容に反発を感じることもありあまり読まなくなりました。

エッセイシリーズがあるとは知らなかったのですが、図書館で探して読んでみようかと思います。

無批判に江戸時代は良かったというようなことを書いている人もいますが、その欠点も認識された上の姿勢のようなので読む価値はありそうに思います。

江戸時代に人口は約3倍に増えたようです。新田開発も盛んでさまざまな技術の発展もあり、また戦争のない状況が生産増加をもたらしたといえます。
矛盾はどの社会にもあり、それが噴出することもあります。今年の大河ドラマもなんとなく見ていますが、幕末の変革を求める志士と言われる人々の求めたものはなんだったのか、諸外国の中でやむを得なかったとは言え、間違った方向に突き進んだのかもしれません。
2015/01/19(Mon) 14:34 | URL  | 爽風上々 #-[ 編集]
訂正
デビュー作は「SF三国志」ではなく「SF西遊記」でした。最近よく三国志関連のものを読んでいたのでなんとなくそちらを書いてしまいました。
2015/01/19(Mon) 18:23 | URL  | 爽風上々 #-[ 編集]
地球の大きさ、日本の大きさによる制限
 さまざまな制限の中で、最大限太陽エネルギーを利用してきたのが江戸時代ですね。
 江戸時代の技術力による太陽エネルギー固定能力の範囲では、三千万人の人口を養うのも多少の余力があったようです。「貝と羊の中国人」によると、かなりの余裕があり、この余裕のおかげで明治維新の経済発展があったとのことです(槌田氏も同様なことをどこかで書いていました)。
 当然経済発展は、庶民の富を吸い上げて行われたので、比較的小規模な農民等は没落したそうです。また、環境破壊も進んで、足尾銅山鉱毒事件等が起きたようです。
2015/01/19(Mon) 22:32 | URL  | guyver1092 #-[ 編集]
Re:石川英輔氏
私は「大江戸神仙伝シリーズ」(別名「大江戸情事シリーズ(笑)」)を、中古で数冊購入し、そのうち2冊読んでみましたが、どちらも前のほうだけ読んで止めてしまったのは、大して面白いと感じなかったからです。(例によって、タイムスリップものの矛盾も嫌いですし・・)

爽風上々さんは

>内容に反発を感じることもありあまり読まなくなりました。

との事ですが、どんな部分に反発を持ったのでしょうか?興味があります。


一方、お奨めの、「大江戸事情シリーズ」は、私の紹介の仕方が誤解を招いたのかも知れませんが、エッセイではないと思います。学術論文のような固い書き方ではありませんが、読みやすく書かれた文明論(江戸時代と現代の比較)の類だと思います。比較文明論とも言えるのでしょうか?
 タイトルの項目の内容に関する江戸時代の紹介でもあり、データを調べ、現在と比較して考察しています。例えば、「大江戸えねるぎー事情」では、同じ作業をするエネルギー量を、石油の量に換算して比べています。江戸時代のほうは、人力も石油換算しています。(そうしないとほぼゼロJになってしまいますから・・。)文章には彼の思想も反映されてはいますが、エッセイや随想の類では無いと思います。江戸時代の余り知られていない知恵も様々紹介されていて、興味を持って最後まで読めます。大江戸神仙伝」のように眠くはなりませんでした。

2015/01/19(Mon) 22:53 | URL  | 雑草Z #SAV8FvZY[ 編集]
Re:地球の大きさ、日本の大きさによる制限
>最大限太陽エネルギーを利用してきたのが江戸時代

そうですね。風力、水力から薪炭や人力に至るまで太陽エネルギーと考えられますね。それ以外のエネルギーを殆ど使わなかった事が、江戸時代の素晴らしさですね。

>この余裕のおかげで明治維新の経済発展があったとのことです(槌田氏も同様なことをどこかで書いていました)。

言われてみれば私も槌田敦さんの書物でそんな事を目にした記憶があります。江戸時代の余力は結構あったのですね!?・・・現代のほうが真の意味の余力は無いでしょうね。

>比較的小規模な農民等は没落したそうです。また、環境破壊も進んで、足尾銅山鉱毒事件等が起きたようです。

なるほど、明治維新以降、現代に繋がる環境破壊と格差問題が起こった・・・とも言えそうですね。・・とすればやはり明治維新は本当は日本にとって良くなかったのかも知れませんね。


2015/01/19(Mon) 23:04 | URL  | 雑草Z #SAV8FvZY[ 編集]
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