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2014-07-23 00:11
フォルト・ツリー解析[FTA=Fault Tree Analysis ]は、システムに起こり得る事故や故障の発生確率を求める場合に使われる確率論的手法です。 システムにおけるある事故の原因を、システム各部における部分的故障のシナリオの因果関係が分かるようにフォルトツリーと言う樹形図で表し、その部分のシナリオ毎の確率を求め、最上位にある事故(解析したい事故)が起こる確率を計算する手法です。
特に大きなリスクを抱えた原子力の事故発生を確率論的に評価しようと・・・と言うよりも、事故発生の確率を過小評価する為に・・使われて来た手法です。原発推進派にとってはシビアアクシデントは起こり得ないと主張する為の画期的な手法であったようです。試しにネットで検索してみると、3.11以降の現在でさえも、色々なところの原発のFTAを見付けることが出来ます。
その最初の代表例が、1975年にアメリカ原子力規制委員会[Nuclear Regulatory Commission]から公表された原子炉安全性の研究報告書 [通称 ラムッセン報告]です。
フォルトツリーの各部分におけるシナリオ毎の故障の確率は、これまでの経験や実験で値を決めています。
そして、ラムッセン報告によれば、炉心溶融事故の起こる確率は、2万炉年に一度とされ、大規模事故の確率は、原子炉1基当たり10億年に1回で、それはヤンキースタジアムで野球観戦中に頭上に隕石が落ちて来て死ぬ確率よりも小さいから現実には心配の必要が無いとされました。(「ヤンキースタジアムで野球観戦中に頭上に隕石が落ちて来て死ぬ確率」と言う表現自体曖昧で、確率を問えないものです。・・・例えば、それは野球観戦者の中の特定の一人の事か、観戦者全員のうちの誰かか、1回の試合か、ヤンキースタジアムの歴史を通してか・・・など様々な厳密な仮定を変えれば、100万倍以上のオーダーで確率が違ってくるでしょう。・・・でもそんな事まで議論していては、この解析の酷い問題点には迫れませんから、無視します。)兎も角、こんな馬鹿げた稚拙な研究を拠り所に原発推進派は原発の安全を主張し、その功績によりラムッセンはエンリコ・フェルミ賞と言う賞も受賞したのです。

日本でも、この手法で原発が安全だという根拠とされて来たのですから、開いた口が塞がりません。・・・こんなどうしようもない詭弁で安全神話が作られて来たのです。原子力推進の為の御用科学は、インチキペテンのオンパレードですが、このラムッセン報告のフォルト・ツリー解析も、明らかに間違った手法である事は簡単に指摘できます。
実際、1979年には、憂慮する科学者同盟[The Union of Concerned Scientists]等によって批判や反論が為されたそうです。
そして直ぐにアメリカではスリーマイル島の原発事故が起こりました。その後チェルノブイリ、福島の原発事故も起こりました。1基あたり10億年に1回と言うのだから、多めに見積もって世界の原発が500基だとしても、200万年で1回しか起こらない筈の大規模事故が、実際は50年ほどの間に3回も(福島第一原発でシビアアクシデントを起こした原子炉は3基ですから、3回と数えるべきです。そうすると計5回も)起こっているのです。このような事故は稀現象であり、ポアソン分布に従いますから、連続で起こる事もあり得るのですが、それでも200万年に1回の確率の事故が50年で5回、ほぼ10年に1回の割合で起きているのですから、現実の事故発生状況から考えただけでもラムッセン報告が間違っていたと考えられます。
しかし、現実に起こる以前に、ラムッセン報告に限らず、多くの原発でのフォルト・ツリー解析は数学的に完全に間違った方法です。これはその計算方法を見れば一目瞭然です。
炉心溶融などの重大事故は、いくつもの部品や安全装置が同時に故障する場合に起こると仮定して、炉心溶融事故のフォルトツリーの各部の事故の確率を掛け合わせているのです。簡単に言えば、部分的に10年に1度の故障が9つ同時に、1000年に1度の故障なら3つ同時に起る確率は、掛け算で10億年に1度と計算されます。(実際には、その故障が起こっている時間・・修復されるまでの時間も考慮し、故障している時間が全て重なった場合に事故が発生すると考えるのでしょう・・・)

これは確率論の基本を知らない恥ずかし過ぎる理論です。
各々の故障する確率を掛け合わせるのは、その各々の事象が独立の場合です。例えば3つのさいころを投げてそれぞれが1の目の出る確率は1/6ずつで、それぞれのさいころを投げた結果出る目は、互いに影響されないと考えられるので、3つのさいころの出る目は独立と言えるのです。この場合、3つとも1の目の出る勝率は、1/6を3回掛けて1/216 と言えます。
それに対し、例えば、ある棚に入っている全部で5つのガラスのコップが、壊れる・・割れるという事故は独立ではありません。
例えば話を簡単にする為に、何らかのミスか事故、災害などによって、一つのコップが割れる確率が平均1年に1回とします。ある棚に入っている全部で5個のコップを全て同時に(同じ日に)割る確率は、それぞれのガラスコップが割れる事象が独立ならば、1/365の5乗(.・・・これだけでも10億年に1回以下の確率となります。・・・)になりますが、現実の世界に置いて、同じ棚の中のコップが割れるという事象が独立とは考えられないでしょう。同じ棚の中にあれば、一つのコップを倒して割ってしまったときに、他のコップに当たって、他のコップも一緒に割るかも知れません。人が棚にぶつかって、全部一度に落として割って仕舞う場合もあるでしょう。同じ地震で一度に全部割れてしまう事故も普通に考えられるでしょう。・・・即ち、同じ棚に置いてあるコップが割れるという事象は独立では無いのです。こんな事は、小学生でも簡単に理解出来る事でしょう。
 炉心溶融事故のフォルトツリーの場合も、同じ棚の中のコップと同様に考えて良いでしょう。同じ原子炉建屋内で、若しくは同じ敷地内での部品や装置の事故が、独立でしか起こらないと考えるほうが無理があります。一つの装置の故障が他の装置、部品の損傷の原因になる可能性は否定出来ません。トラブルが連鎖的に起こる例はいくらでも考えられます。例えば一つの部品が爆発したら、他の部品も破壊される可能性は何も起こらなかった場合よりも遥かに高くなるでしょう。地震や津波が発生すれば、それぞれの装置や部品が故障したり破損したりする確率は一斉に高くなるでしょう。地震や津波が原因で、沢山の装置が同時多発的にトラブルを起こす可能性を考えない方がおかしいでしょう。つまり、同じ建屋内、敷地内の装置、部品の事故は、独立ではなく従属関係にあります。そこには積の法則を当てはめてはいけないのです。積の法則を使うのは愚の骨頂です。こんな事を平気で主張する原発推進派は、やはり無茶苦茶なごり押し団体と言うべきでしょう。

因みに、スリーマイル島と、チェルノブイリの原発事故は、同じ発電所内の人為的ミスが独立でない事=連鎖した事 の実例であり、福島第一原発事故は、地震や津波によって、同じ発電所内の装置や部品の事故は従属的に起こることに加えて、先の二つの原発事故同様に人為的ミスの従属性によるものでしょう。実際に炉心溶融などのシビアアクシデントが発生する以前に、原子炉事故のフォルトツリーの部分的アクシデントが、それぞれ独立でない事は、自明の理でしょう。


参考文献
 開発リスクの政治経済学 第2章 開発の環境リスク  
安部竜一郎 著   文眞堂 発行 (論文集)2013年10月発行
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【2014/07/23 00:11】 | Economic Fascism トラックバック(0) |

東日本大震災
guyver1092
 震災後、日本の原発事故の確率は、500炉年に一回と発表したのを覚えていますが、これを引っ込めてまたぞろ非現実的な数値を主張しているのですか。次の原発事故が起きた場合、福島ほどの幸運がまたあると考えているとしたら異常ですね。なぜ選挙では、日本人はこのような異常者ばかりを選ぶのでしょうか。

原発事故の確率
雑草Z
>震災後、日本の原発事故の確率は、500炉年に一回と発表したのを覚えていますが、

これは、日本の全ての原発の総稼働年を実際の深刻事故(=メルトダウン)発生数(福島第一で3基)で割って、出した数値なので、ラムッセン報告よりも遥かに意味のある数値だと思います。
【日本の原発シビアアクシデントの確率】2011-11-05
に書きましたが、日本の総原発数を考えると20年足らずの間に一度の割合で起こるという、非常に怖すぎる値です。

>これを引っ込めてまたぞろ非現実的な数値を主張しているのですか。

すみません。誤解を受けるような書き方でした。ラムッセン報告以降、日本でもフォルトツリーによる間違った方法で、深刻事故の確率を非常に低く見積もったと言う事です。
3.11以降に見積もったという事では無く、フォルトツリーの誤用によって非常に低く見積もった事故の確率の試算が、HP等にまだ残っているものがあったという事です。

しかし、10億年に1回が、500年に1回に修正されるって酷過ぎる話です。200万倍に修正されたという事です。全くインチキだったって事ですね。

Re:原発事故の確率
guyver1092
 事故確率を200万倍に修正したのにもかかわらず、このような試算をしたものに何の咎めもないのは、無責任ですね。
 原発再稼働について、原子力規制委員会も、総理も責任を取らないと明言し、立地県の知事は、国や原子力規制委員会が責任をとるから再稼働するなどと言い放つのも、このような先例があるからなのでしょうね。

Re:原発事故の確率
雑草Z
 原子炉1基当たり10億年に1回というのは、さすがに信じなかったとしても(堂々とプロパガンダされていたので、そんなことを信じていた人々もいたことでしょう。)3.11以前、原発事故の確率はかなり低く、自分が生きている間、若しくは自分が現役(の政治家、経営者)の間は申告事故が起こることはまずないだろうとたかをくくっていた輩が多かったでしょう。しかし、3.11以降は、原発再稼働の責任をとるとは言えなくなったのでしょう。・・そんなら再稼働を推進すべきではないですすね。無責任です。実際、現在日本では原発は一機も動いてなくても足りているのですから。

再稼働しなくても、日本の原発は密度が高すぎて、抱えきれないような負の遺産です。

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この記事へのコメント
東日本大震災
 震災後、日本の原発事故の確率は、500炉年に一回と発表したのを覚えていますが、これを引っ込めてまたぞろ非現実的な数値を主張しているのですか。次の原発事故が起きた場合、福島ほどの幸運がまたあると考えているとしたら異常ですね。なぜ選挙では、日本人はこのような異常者ばかりを選ぶのでしょうか。
2014/07/24(Thu) 20:17 | URL  | guyver1092 #-[ 編集]
原発事故の確率
>震災後、日本の原発事故の確率は、500炉年に一回と発表したのを覚えていますが、

これは、日本の全ての原発の総稼働年を実際の深刻事故(=メルトダウン)発生数(福島第一で3基)で割って、出した数値なので、ラムッセン報告よりも遥かに意味のある数値だと思います。
【日本の原発シビアアクシデントの確率】2011-11-05
に書きましたが、日本の総原発数を考えると20年足らずの間に一度の割合で起こるという、非常に怖すぎる値です。

>これを引っ込めてまたぞろ非現実的な数値を主張しているのですか。

すみません。誤解を受けるような書き方でした。ラムッセン報告以降、日本でもフォルトツリーによる間違った方法で、深刻事故の確率を非常に低く見積もったと言う事です。
3.11以降に見積もったという事では無く、フォルトツリーの誤用によって非常に低く見積もった事故の確率の試算が、HP等にまだ残っているものがあったという事です。

しかし、10億年に1回が、500年に1回に修正されるって酷過ぎる話です。200万倍に修正されたという事です。全くインチキだったって事ですね。
2014/07/25(Fri) 23:24 | URL  | 雑草Z #SAV8FvZY[ 編集]
Re:原発事故の確率
 事故確率を200万倍に修正したのにもかかわらず、このような試算をしたものに何の咎めもないのは、無責任ですね。
 原発再稼働について、原子力規制委員会も、総理も責任を取らないと明言し、立地県の知事は、国や原子力規制委員会が責任をとるから再稼働するなどと言い放つのも、このような先例があるからなのでしょうね。
2014/07/26(Sat) 21:00 | URL  | guyver1092 #-[ 編集]
Re:原発事故の確率
 原子炉1基当たり10億年に1回というのは、さすがに信じなかったとしても(堂々とプロパガンダされていたので、そんなことを信じていた人々もいたことでしょう。)3.11以前、原発事故の確率はかなり低く、自分が生きている間、若しくは自分が現役(の政治家、経営者)の間は申告事故が起こることはまずないだろうとたかをくくっていた輩が多かったでしょう。しかし、3.11以降は、原発再稼働の責任をとるとは言えなくなったのでしょう。・・そんなら再稼働を推進すべきではないですすね。無責任です。実際、現在日本では原発は一機も動いてなくても足りているのですから。

再稼働しなくても、日本の原発は密度が高すぎて、抱えきれないような負の遺産です。
2014/07/27(Sun) 05:00 | URL  | 雑草Z #SAV8FvZY[ 編集]
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