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2011-09-29 00:21
 すべての化石燃料が突然なくなったら、発電はどうなるか考えてみることにしましょう。すべての工業、農業等まで考えると、問題が見えなくなるので、発電関係のみに絞って考えてみます。
 石油火力発電は当然に止まります。水力発電は止まらないでしょう。原発も動いているでしょうが、ここに大きな落とし穴があります。原発は出力を変更するのがとても難しいのです。そして人間は昼に活動して夜に休みます。昼間と夜とでは電力の必要量は倍ほど違います。水力発電等を使っても、ここまで出力を調整できません。我々の生活は、それまで人間中心で動いていたのが、原発の出力に合わせた生活をしなければならなくなります。具体的には、国民の生活を強制的に交代で行うことにして電力の消費を発電能力に合わせて行うのです。水力発電、揚水式水力等で調整できる範囲のみでの電力をつかう生活、生産を行わなければならなくなります。もし、この様な供給に合わせた生活、生産をしなければどうなるでしょうか。
 原子力発電は核反応よって発生した熱でお湯を沸かし、蒸気を発生させて蒸気タービンを回し、これを発電機につなげ、電気を起こしていますが、需要が電力の供給能力を超えると発電機が過負荷になります。そうした場合発電機を保護するため遮断機が働き発電機を負荷から切り離されるので、その結果停電が発生します。この様な場合の停電は必ず大規模なものになります。また、需要が供給能力より遥に少ない場合はタービンは過回転となり、いずれは遠心力でタービンが壊れます。 これをタービンミサイル事故とよびます。
 この、生活をどうするかの問題が片付いたとしても、一年程すると次の問題が発生します。燃料を交換しなければなりませんが、この燃料が無いのです。
 なぜならば、核燃料を作るにはウラン鉱石を採掘、選鉱、精錬、転換、濃縮、加工をして核燃料まで加工しなければなりませんが、これらの作業は、電気だけでは出来ないのです。
 まず採掘ですが、鉱業では採掘に大型の機械を必要とします。ブルドーザー、ドリル、トラックなどです。また、爆薬も必要です。これらの機械はほとんど石油で動いています。電動のものはごく一部の様です。→[ロックドリル]など参照。

核燃料を製造するには、各種機械、科学薬品等、様々な物質を必要とし、これらを運転する、または物質を用意するには石油が不可欠なのです。
 日本では現在、六ヶ所ウラン濃縮工場は停止中のようですので、濃縮した核燃料を輸入しているのでしょう。[世界のウラン濃縮施設

上記のホームページによると世界のウラン濃縮は、米国のユーセック(USEC)、ウレンコ、フランスのアレバ(AREVA:ユーロディフの親会社)、ロシアの国営企業ロスアトム(ROSATOM)の4社が世界全体の需要の約96%を賄っているそうで、どの国で濃縮されたかにより石油依存度が変わってくるでしょう。アメリカとすると80%ほどを石油と水力起源の電気エネルギーで濃縮している事になります。ともあれ濃縮以外にも石油がいることを考えると、核燃料は石油が無ければ製造できない事は確実です。また出来たとしても、必要量なだけ製造することは不可能でしょう。ちなみに 戸田清『週刊金曜日』掲載原稿 によると過去には100%石油火力発電の電気により濃縮していた時代もあると書かれています。

原発推進派はよく「原発を否定するなら電気を使うな」と言いますが、それに対して私は「石油を一滴も使わず核燃料を作って見せろ」と返しましょう。また「日本の原発比率は30%あり、この事実は無視できない」と言うなら「「輸入核燃料の濃縮の為の石油比率は80%以上との事実は無視できない」
と返します。
 また、輸入するために船が必要ですが、原子力船は軍艦しかありませんから、核燃料を運べる船が世界のどこにも無いということになります。無理やり軍艦に核燃料を載せるにしても日本の軍艦に原子力船はありません。すなわち日本では、新たな核燃料の入手は不可能ということになります。仮に国内に輸入できたとしても、発電所まで運ぶ手段がありません。電車は原発から港まで走っていないのですから。
 結論 
原子力発電は石油の力を借りなければ発電できない発電システムで、「石油がなくなったら原子力がある」と言う考えは、寝言です。

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原子力の費用対効果やエネルギー産出比が破綻して使いものにならない事は、原子力の事故の期待値(数学的意味での「期待値」)やバックエンドの事まで考えれば明らかです。しかし、それとは別に、実際に石油無しで原子力を稼働出来ない事を示すのは大変そうなので、手を付けていませんでした。その困難な説明を、ここのサイトの常連であるguyver1092 さんにやって頂いたのがこの記事です。原子力は、石油文明の一部であり、石油無しでは原子力も稼働できないのです。
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【2011/09/29 00:21】 | 原子力 トラックバック(0) |


Anthony
莫大なエネルギーを使う宇宙開発も縮小してほしい。

本音は、軍備もやけど...




>原発の出力に合わせた生活
雑草Z
この記事を何度か読み直していたら、気になったフレーズが
>原発の出力に合わせた生活

です。人間の生活が機械に支配されて仕舞うと言うのは昔からよくあるステレオタイプのSFですが、現代社会はまさしく既にそのような状態です。
 そして、出力調整が困難な原発の為に、深夜電力でお湯を沸かしたり(使うのはかなり時間が経ってから・・)と、非効率な電気の浪費生活をしている訳です。不便なだけでなく危険極まりない原発に合わせた生活をしてまで原発をする意味がある筈がありません。近い将来、愚の極みであったと言われる事でしょう。

>昼間と夜とでは電力の必要量は倍ほど違います。

その、使用量の少ない夜間でさえ、電力は浪費の限りを尽くしていると言う事になりますね。石油の浪費にもなるわけですね。
酷い世の中です。



Anthony
僕は、江戸時代みたいなリサイクル&低消費世界と最新のIT社会がうまくかみ合ったような理想を夢見るダメ人間です。(笑)

こんだけ、通信関係が発達してるのに、ジェット機を使って海外に行って会議とかするビジネスマンとかも、なくなってほしい。



RE:軍備
guyver1092
 宇宙開発について、子供のころは別の恒星系の大地に降り立ってみたいとの夢を持っていましたが、現実の宇宙開発はエネルギー産出比的に割に合う物は限られている様ですね。例えば無重力合金とか読んだことがありますが、宇宙にその設備と原料を持っていって製造し、持ち帰って利用するなどばかばかしくてやってられないほどのコストがかかりそうです。
 人間が真に理性ある動物なら、危機を予測し、それに対処すれば、軍事力で他人の資源を強奪して自分だけ生き延びると言う選択肢は存在しませんから軍備は必要ありませんが、現実は原子力村を見ている限り、人間に理性を期待できないかもしれませんね。

RE:原発の出力に合わせた生活
guyver1092
 日本では便利な生活のために電化を進めてきたのですが、どこかのボタンの掛け違いで、本末転倒な珍妙な事態になっていますね。原因は恐らく、目先の事しか考えていない経済思考でしょうね。

情報化社会
guyver1092
 通信自体は重要なもので、遠隔地の情報を入手することにより、消費削減も可能な事態もあるでしょうが・・・ 情報通信機器の製造分で、削減分を大幅に上回ったりして。

宇宙開発
雑草Z
    guyver1092 さん

>現実の宇宙開発はエネルギー産出比的に割に合う物は限られている

との事ですが、あるんでしょうかね?・・通信衛星とかを想定されているのでしょうか?・・・人工衛星も地上に落下してきて危険で嫌ですね。

一応という意味です
guyver1092
 詳しくは無いのですが、現在の石油づけ社会上の経済システムの中で商業化出来ているものは一応、割にあっているのではと考えています。ただし、石油が不足してくると考えられる現在では、これまで割にあっていた物が割に合わなくなるという事は充分ありえると考えています。
 衛星の落下のリスクを考えれば、もっと悪くなるかもしれませんね。


Anthony
昔のソ連の衛星とかは原子炉を積んだものが、あるんでしょうかねぇ?

もし、あって、落下してきたら怖い・・・





Anthony
戦争と、戦争のための訓練にどんだけ無駄なエネルギーと物資が消費されるんだろうなぁ。

バカだなぁ、人類は・・・



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