スポ少
世間を見渡すと、スポ少に大きな価値を置いている保護者、大人が沢山います。少なくとも、テレビゲームよりは遥かに素晴らしい・・・と考える大人が多数派でしょう。
スポーツを通して体を鍛え、(社会の) ルールを学び、人間関係を学び、競争社会で生き残る逞しさを身に付け・・・・と、色々長所も謳われています。
しかし私は、テレビゲームよりも、スポーツ少年団の活動のほうが素晴らしい、とは考えません。確かにテレビゲームは、体は鍛えられないでしょうし、頭もあまり鍛えられないでしょう。どちらかと言えば体も頭も退化するようなイメージです。社会性も身に付くとは期待できません。つまり、テレビゲームには、ネガティヴなイメージが付けられています。(体や頭が鍛えられたり、社会性が身に付くゲーム考案されているようですが・・・。)
それに対して、スポ少は社会的に認められているような風潮です。しかし、環境負荷と言う観点では、スポーツ少年団よりもテレビゲームのほうが遥かに環境負荷は小さいでしょう。テレビゲームも、ハードを作る時に資源を使い、ゲーム中は電力も消費します。それでもスポ少の活動の現状よりは遥かに環境負荷は小さいでしょう。現在のスポ少は、練習場まで車で送迎し、練習場等では大掛かりなナイター設備を使う事も珍しくありません。スポ少の活動に多くの資源とエネルギーが消費されているのです。
大会ともなると、父兄が自家用車を持ち寄って、若しくはバスをチャーターして遠くまで遠征する事も厭いません。そして、遠い場合、ホテルに宿泊して、ホテルで浪費します。基礎体力のトレーニングはするけれど、ホテルの階段はあまり使わず、専らエレベーターを使います。試合やトレーニングに行く為に多くのエネルギーを消費(浪費)するのです。
つまり、いわゆる「経済効果」も大きい点が、スポ少が社会から歓迎される一つの理由になっていることでしょう。大げさな言い方をすれば、スポ少も「経済成長主義」のオト落とし子とも言えましょう。
小さな少年の頃から、スポーツの為には、この手の資源とエネルギーの浪費行動が普通の事、いい事だと思い、罪悪感なく行動できる子供を育てているように感じます。
スポーツ選手をヒーロー視する子供も沢山います。スポ少に所属する子供たちの多くは、自分と同じ種目でプロになった人、若しくはトップクラスの選手にあこがれ、ヒーロー視します。しかし、スポーツが強い人が即、社会に貢献していると考えることには反対です。そんな風潮は頂けません。(現在、このような主張をすると、「ひねくれ者」と扱われるかと思いますが、そういう社会の風潮がおかしいと思います。)そうやってスポーツというものが絶対的な大きな価値のあるもの、社会の中心だというスポーツ偏重の社会が形成されてきました。そして、政治や災害、世界情勢のニュースを抑えて、プロスポーツやスポーツの国際大会のニュースがトップニュースとして扱われる事も一般的になっています。現代はスポーツ偏重社会と言えましょう。
現代の格差社会において、子供をスポ少に入れて子供のサポートが出来ない家庭も沢山あることでしょう。日本の子供の貧困率は16%を超えました。そういう意味では、スポ少に子供を所属させることの出来る家庭は、ある程度裕福ともいえるでしょう。そんなある程度以上に裕福な家庭の子供がスポーツ漬けの少年時代を過ごし、頭の中まで筋肉になっていくのです。
現在、スポ少のような団体は世界中で流行っているようですが、スポーツというゲームの世界に身を投じ、スポーツの勝負の世界が生活の中心となって大人になっていく子供が多いことに危惧を感じます。スポーツが単なる趣味の域を大きく逸脱していると感じます。
私の(ひねくれた)価値観からすれば、スポーツも囲碁や将棋もテレビゲームも同じゲームの範疇です。スポーツは、体が鍛えられる分「ましかな」位です。スポーツが他のゲームよりも気高いとは思えません。
スポーツの本来の姿は、人力の最大限の活用で、他の外部エネルギーは極力投入すべきではないと考えます。しかるに現在のスポーツはエネルギーをどんどん浪費しています。それだけでもスポーツの進んできた方向がおかしいと感じます。
学校での部活動のスポーツでもやり過ぎはよくないと感じますが、スポ少に所属し、スポーツ偏重の少年時代を過ごす少年が増え過ぎだと感じます。「塾とスポ少だけの放課後」という子供も増えてきたのではないでしょうか?危惧すべき状況だと感じます。子供はもっと自然に触れるべきですし、もっと社会問題にも対峙するべきです。子供をシビアな現実に対峙させるのは酷だと考える大人も沢山いるだろうし、私もそう感じる部分も小さくありません。しかし、そんな深刻な現実からずっと目を背け、スポーツに没頭するような大人が多数派だから、現代の深刻な問題はなかなか解決されないのでしょう。それどころか年々先送りされて肥大化しています。スポ少に子供を入れて、その活動に没頭している親の多くが3S政策に嵌っていると言えなくもないでしょう。スポ少で活躍して、社会人になれば企業戦士に育っていく・・・・そんなステレオタイプを理想としている親も多いと感じます。しかし、そんな人々がこんな住みにくい社会を作った一翼を担っているのです。現代社会は、多くの少年がスポ少の世界に没頭してられるような平和な社会ではないのです。
スポ少ブーム、スポ少奨励を好ましいとは考えません。逆に危惧を抱いております。
以上、一見ひねくれた見方でスポ少を論じさせて頂きましたが、根本に流れる考え方はここで主張した通りです。
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